テクニカルライター高橋敏也が現地取材
「GeoVisionの顔認証システムが賃貸物件のセキュリティを進化させる」
 「顔認証システム」と聞いて、皆さんはどんなものを思い浮かべるだろうか? カメラで人間の顔を撮影し、それを解析して個人を特定、あるいは判別する。中には性別や年齢といった情報まで解析できるものもあるだろうし、群衆の中から一個人を特定するようなものもあるだろう。いずれにしても顔認証には高度なシステムが必要となるし、大規模な設備やネットワークが必須のように感じる……。

 実のところPC関連のテクニカルライターである私も、顔認証システムにはそんなイメージを持っていた。ところがどっこい、実はシンプルかつコンパクト、その上で利便性が大変高い顔認証システムも存在する。それを教えてくれたのが今回取材したGeoVision社の顔認証カメラ「JVS-AVD01」である。ちなみにGeoVision(ジオビジョン)は台湾に本社をおく、セキュリティカメラの世界的なメーカーだ。実はここに私の知人がいて、顔認証システムの話になった訳だ。

「面白いから取材してみる? その代わり原稿書いてね」
「OK、その話乗った」

 だが、顔認証カメラがポンと置かれていて、そのシステムの画面を見せられるだけでは面白くない。という訳で多少無理を言いつつ「実際にJVS-AVD01が稼働している現場」を取材させてもらった。しかも東京都内にある賃貸物件で、実稼働している顔認証システムである。個人情報の関係、はたまたセキュリティ上、リアルに稼働しているシステムを取材するのは難しいのだが、関係各位の尽力でそれが実現した訳だ。
  • GeoVisionの顔認証カメラ「JVS-AVD01」。この中に顔データベースを含む顔認証システムが内蔵されている
  • 賃貸物件、エントランスの天井に取りつけたられたJVS-AVD01。もちろん防塵防水である
そしてその結果は……まさかこんなに顔認証システムが身近なものだったとは……。
顔認証カメラ「JVS-AVD01」はシンプルで高性能
まずは顔認証システムの中核となるGeoVisionの顔認証カメラ「JVS-AVD01」を、ハードウェア的に見てみよう。外観的にはよく見るタイプのセキュリティカメラであり、天井部分に取りつけることが想定されている。カメラ自体は4Kに対応した800万画素のCMOSを採用したもので、半球の透明ドームに収納されている。もちろんユニットとしては耐防塵耐防水、さらには耐衝撃性能まで備えており、出入り口など外部での運用に対応している。

 そして何より驚くべきことは、このJVS-AVD01単体で「顔検出、照合、そして通知」という顔認証システムが運用できるということなのだ。ユニットとしてのJVS-AVD01には顔データベースが内蔵されており、さらには顔検出や照合といったソフトウェアも内蔵されている。さらに顔データベースには最大10,000人を登録することができ、同時に8人を認証することができるのだ。

 冒頭でも書いたが「顔認証システム」というと、例えばネットワーク経由で専用のサーバーに置かれたデータベースにアクセスしたり、クラウドサービスに頼ったりと大規模なシステムをイメージする。しかしJVS-AVD01の場合はそれ自体が顔認証カメラであり、顔認証システムとなる。導入の容易さという点で、JVS-AVD01は最高レベルにあると言えるだろう。

 もちろんJVS-AVD01を中心としてシステムアップを図ることも可能だ。まずサーバーを接続して機能を拡張することが可能だし、同社のセキュリティカメラ用多機能レコーダー「GV-VMS」と組み合わせてポップアップ通知すること、メール通知することができる。もちろんレコーダーなのだから、JVS-AVD01の4K高画質での録画も可能だ。また、ネットワークハブなどと組み合わせて、JVS-AVD01を含めた複数のセキュリティカメラを同時運用することも可能になる。

 さらに顔認識による通知を信号として入退室コントローラーを操作、自動ドアやロックの開閉が行えるという。これによりデータベースに登録された人間に対してのみ開く自動ドア、登録されたメンバーだけに対して解錠するシステムなどが構築できる。顔認証による入退室の自動化、エントランス開閉の自動化などが実現する訳だ。

 で、ここが大きなポイントとなるのだが、JVS-AVD01を中心とした顔認証システムはそのシンプルさコンパクトさからも分かる通り「後付け」が可能なのである。例えばすでに設置されている自動ドアであっても、開閉に関わるリレー部分を操作できるのであれば、JVS-AVD01から信号を送ることで開閉をコントロールできる。もちろん施錠、解錠も可能である。既存の設備へ顔認証システムを容易に後付けできる、GeoVisionのシステムならではの大きなメリットである。

 ではJVS-AVD01を中心としたGeoVisionの顔認証システム、具体的にはどういった活用が可能になるのか? もちろんアイデア次第でさまざまな運用が可能なのだが、具体的な例を考えてみた。
  • 店舗では
    例えば重要顧客、いわゆるVIPへのサービス向上が実現する。VIP来店時にそれを認識して通知、速やかに接客に入ることができる。また会員制の店舗、飲食店などでは入店そのものを顔認証で行うというのもありだろう。いわゆる「顔パス」がセキュアに実現するのだ。
  • 企業では
    出退勤の管理を顔認証で行うことができる上に、出入り口の開閉も行える。もちろん店舗での運用と同様、来客時にVIPや要注意人物の到着を通知することも可能だ。また、GeoVisionの顔認証システムは、顔データベースへの登録がとにかく簡単なので、例えばメンバーが頻繁に入れ替わる施設の出入りを管理することも容易だ。
  • 集合住宅では
    入居者を登録しておき、顔認証でドアの開閉が可能に。既存のオートロックシステムとの親和性も高く、利便性やセキュリティをさらに向上させることができる。
「個人を顔で認識する」という基本機能があれば、活用用途はまさに無限大。今回はその中でもセキュリティや利便性という意味で、大変分かりやすい実例を取材させてもらった。それが「賃貸物件+GeoVisionの顔認証システム」である。
行った、見た、認証した「現場」の顔認証システム
 さて、便利なことはスペックからでも容易に想像できるGeoVisionの顔認証システム。では実際にどう使われているのか、その使い勝手はどうなのか?そのあたりは実際に顔認証システムが導入されている賃貸物件で探ることにしよう。ということで訪れたのは東京都心部某所、絶好のロケーションにあるリバブルアセットマネジメント株式会社の賃貸マンション。本当は具体的に場所を言いたいのだが、そこはそれセキュリティ上、伏せなくてはならない。

 さっそくエントランスへ向かうと、そこには賃貸物件ではもはやお馴染みとなっているカードキーやパスコードに対応したオートロックシステムがある。そしてエントランスの天井部分を見ると、ありました、GeoVisionが誇る顔認証カメラ「JVS-AVD01」が。本体自体がコンパクトなので、目立つことなくひっそりと設置されているという印象だ。

 まずはすでにデータベース登録されている管理会社の人がエントランスへ向かう。そしてさりげなくJVS-AVD01の方を見る(顔をやや見上げるぐらいの角度で見る)と、ごく自然に何事もなかったかのようにドアが開いた。ドアが開くまでのタイムラグはほとんど感じられず、JVS-AVD01が持つ顔認証データベースの処理スピードが高速なことが分かる。このため利用者が認証を待つという状況は発生しない。

 次に顔認証データベースへの登録作業を実際に見せてもらった。実はこちらも超簡単でスピーディ。基本的には顔認証システムの一部である専用のタブレット(iPad)でデータベース登録したい人の顔を、角度をつけて何枚か撮影するだけ。もちろんタブレットは無線ネットワークでJVS-AVD01と接続されており、カメラに内蔵されているデータベースへ利用者を登録する。スムーズかつスピーディな登録が可能であり、これなら利用者や管理者の負担は最小限だろう。
  • 利用者を登録する顔登録ソフトウェア「GV-Face」はタブレット型の専用端末で動作する
  • シンプルなので初めて使う場合でも操作に迷うことはない
  • 何種類かの角度で利用者の顔を撮影して登録する
    (注:画面はサンプルです。キャラクターは実際の利用時、顔の写真になります)
  • 撮影も素早くスマホ感覚で行えるので、利用者を一人登録するのにかかる時間は数分

  • メガネの着用などもきちんと認識する
 さらに具体的にはどういった点で便利なのかを実演してもらった。その賃貸物件では各フロアに居住者のための自転車置き場がある。これなら高価な自転車を利用している場合には安心だし、エントランスフロアの店舗などを広く確保することができる。だが、自転車を利用する際には、各フロアから持ち出して帰宅の際にはそれをまた各フロアに戻さなくてはならない。
  • 物件内部から見たJVS-AVD01。本当に目立たない
  • 自転車から手を離すことなく顔パスならぬ顔認証で入館
 そんな時こそ顔認証システム!自転車を伴って帰宅した際には、その自転車を支えたままエントランスのドアを通過しなくてはならない。片手で自転車を支えてカードキーをバッグなどから取り出し、オートロックシステムに認証させる……。ところが顔認証システムがあれば、チラッとカメラの方を見るだけでドアが開くのである。自転車を両手で支え、安定した状態でドアを通過できる訳だ。
  • 一般的なオートロックシステムも用意されている
  • 大量の買い物をした時などは、カードキーを財布などから出してタッチするのも大変だ
  • 両手に買い物袋を持ったまま、チラッとカメラの方を向くだけでドアが開く
 考えてみると帰宅した際に「両手がふさがっている」というシチュエーションはよくあることだ。買い出し、買い物、両手にエコバッグ、あるある。旅行や出張から帰ってきた、片手に旅行カバン、片手にキャリーケース、あるある。要するにカードキーを探して取り出すのが難しい(面倒)場合、いったん荷物を置いたり自転車から手を離すことなくドアを開けられるのだ。ほんの少しだけJVS-AVD01に顔を向けるだけで。

 ちなみに既存のオートロックシステムも稼働しているので、例えば風邪などでマスクをしていた場合、大きめなサングラスをかけている場合、要するに顔認証が難しい状況であってもカードキーやパスコードでドアを開けられる。また、人によってはポリシーとして顔などのデータベース登録に抵抗がある場合も考えられる。顔認証を使用する、しないは、利用者が決められるのでまったく問題無い。

 ちなみにその物件では利用者に対して「顔認証という便利なサービスがあります」と告知し、決められた日時に管理会社がエントランスで待機、希望者の顔データベース登録を行ったという。では顔認証を利用している居住者のリアルな感想はどうなのか?このあたりを伺うため、物件の所有者でもあるリバブルアセットマネジメント株式会社へと向かった。
GeoVisionの顔認証はIoT住宅の一部
 今や世界はインターネットの元にある。コミュニケーションはもちろんだが、さまざまなサービスがインターネットを経由して提供され、人々の生活を豊かにしているのだ。そんな中、現在もっとも注目されているインターネット関連のキーワードが「IoT(アイオーティ=Internet of Things)」」である。簡単に言ってしまうと「モノのインターネット」、要するにモノとモノとをインターネットのように(インターネットなどを経由して)接続してしまおうという流れなのだ。あるいはモノとモノとか接続された先にある、新しいサービスという言い方もできる。

 そんな流れの中、私が取材した賃貸物件には先進的なサービスがいくつか導入されている。もちろんその一つはGeoVisionの顔認証システムなのだが、さらに利用者の居住スペースには「インテリジェントホーム」というサービスが提供され、この物件はいわゆる「IoT住宅」と呼ばれているのであ。そのあたりを物件を所有するリバブルアセットマネジメント株式会社、プロジェクトチーフである末次俊介さんに伺った。
  • 真面目にインタビューしました。インタビュアーの高橋
高橋:まず御社のIoT住宅に関するサービスの概要をお聞かせください。

末次:取材していただいた物件では「インテリジェントホーム」というサービスを導入しています。インターネットを経由して鍵を開けたり、電気を点けたり、エアコンのオンオフなどが出来るサービスですね。

高橋:そのサービスはスマートスピーカーと連動していると伺ったのですが、そうしますと各部屋にスマートスピーカーがあらかじめ設置してあるのですか?

末次:そうですね。入居された方はインターネットを含めて、インテリジェントホームのサービスを自由にお使いいただけます。もちろんどんどん進化するサービスですから、後から新しい機能を付加していただくことも可能です。

高橋:この物件が御社にとってIoT住宅の第1号とお聞きしていますが、今後もIoT住宅を増やして行くご予定なのでしょうか。

末次:この物件が第一号で、現在(2018年12月時点)計画しているのは3物件になります。

高橋:顔認証システムの導入はこちらの物件が初めてと伺いましたが、その理由とGeoVisionの製品を選ばれた理由を教えてください。

末次:導入のきっかけは別の物件の設計をしていただいている会社さんが、展示会でGeoVisionさんを見つけられてご紹介していただいたからです。当時、今回取材していただいた物件が竣工間際だったのですが、GeoVisionさんに伺うと今からでも入れられるということでしたので導入しました。弊社としてはとにかく新しいサービスを入れたいなという気持ちがありまして、もちろんそれは入居者にとって利便性のあるものでなくてはなりません。

高橋:実際にGeoVisionの顔認証システムを導入され運用されている訳ですが、現時点ではどういった印象をお持ちですか。

末次:機能的に見ても入館する際に、カメラの方へチラッと顔を向ければ良いだけなのでとにかく便利ですね。

高橋:ありがとうございました。

 今回の取材では賃貸物件において顔認証システムは、確実なセキュリティだけでなくハンズフリーの利便性をもたらしたということだ。そしてGeoVisionの顔認証システムがシステム的にコンパクトだということ。何しろ顔認証カメラであるJVS-AVD01自体に顔データベースだけでなく認証用のシステムまで含まれているのだ、そりゃシステム自体コンパクトになるし、そのお陰で導入もしやすいだろう。というか既存施設に後付けで導入できるというのも大きな魅力だと思う。

 どんな場所、用途であっても建物があれば人の出入りがある。今後もセキュリティの重要性はどんどん増してくる訳で、顔認証システムの存在価値も高まってくるだろう。結論として皆さんにお伝えしたいのはただ一つ。GeoVisionの顔認証システムは「簡単に導入できて、効果は抜群」ということだ。コスト、工期、既存施設との接続性などが気になった方はすぐにでもGeoVisionにコンタクトしてみて欲しい。
決して損はしないから。